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●INTRODUCTION
修学旅行で京都を訪れた札幌の高校生・麻田法靖(三上祐一)は、 悪友と入った新京極のストリップ劇場のSMショーの最中に焚かれていた奇妙な「香」の匂いに悪酔いし、外へ飛び出した。そして、ふと目に付いたその名前に導かれるように一人、古寺“照葉寺”へ赴いた。 紅葉に包まれたその寺には、盲目の匂い香の名人・室井春治(佐野史郎)と謎めいた妖艶な和服の女・室井燿子(竹井みどり)がいた。 燿子に匂い香を聞く(嗅ぐ)ことを勧められ、焚かれた「香」を聞いた途端、前後不覚に陥る法靖。目覚めると、彼は寺から遠く離れた鹿ヶ谷に倒れていた。しかも、太腿には鞭で打たれたような傷があった…。
翌日、法靖は照葉寺で聞いた匂いが、ストリップの最中に焚かれていたものと同じであると確信、そのステージで「香」を焚いていた室井秋伍(寺田農)に話を持ちかける。しぶしぶ料亭の香席へ法靖を連れて行く秋伍。そこには、主催者の春治に連れ添う燿子の姿があった。 秋伍は室井春治の実兄で、博打に手を出したばかりに「香」の世界から追放されたのだった。燿子は法靖との再会を喜び、その夜彼を照葉寺へ誘い、激しく愛し合う。
そこで初めて聞かされる燿子と春治の素性。春治を盲目にしたのは燿子であり、彼女はその罪を償おうと、春治に付き添っていたのだ。だがやがて、「香」の世界にのめり込んでいった春治は性的不能となり、若い男の肌を鞭打つ、その音にしか反応しなくなってしまった。 法靖の腿の傷も、春治の持つ「睡り香(ねむりこう)」の匂いに酔わされて付けられたものだった。異常な愛欲の世界から、燿子を救い出そうと焦る法靖。秋伍は、法靖が聞いた「睡り香」の正体が、「蘭奢侍(らんじゃたい)」と呼ばれる「幻の香」であることに気付いていた。そして、その「蘭奢侍」欲しさから秋伍は耀子を誘い、春治を殺害する。 しかしその直後、耀子は秋伍をも亡き者にした。何も知らない法靖は再び耀子と愛し合うが、翌朝彼女は一人、湖に身を沈めていった…。「ここは妖かし、とうに滅びた都のまぼろし…」
紅葉の匂い立つ古都・京都の魔物にまるで魅入られたかのように、底知れぬ“禁断の愛”の甘美な罠に溺れてゆく男と女――。 『人魚伝説』の俊英・池田敏春監督が、香道と耽美的エロスに着眼。赤江瀑(『雪華葬刺し』)作品集『マルゴォの杯』の中から『千夜恋草』を原作に、業を背負いながら堕ちていく男女の姿を、ヴァイオレンスとエロティシズム溢れる映像美で、ミステリアスかつ鮮烈に描いた傑作官能サスペンスである。 主演は『キャバレー日記』の竹井みどりと『夢みるように眠りたい』の佐野史郎。年上の女を想う高校生に『台風クラブ』の三上祐一が扮し寺田農(『ラブホテル』)、栗原早記(『岸和田少年愚連隊 望郷』)らが脇を固めている。音楽は『死霊の罠』『いきすだま 生霊』などの池田監督作品を手がけたZABADAKの吉良知彦が担当している。
★92年度日本映画プロフェッショナル大賞・主演男優賞=佐野史郎
同ベストテン第5位
★92年度ビデオオリジナル・ベストテン・主演女優賞=竹井みどり
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